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【眼科医監修】目が痛い!その原因と隠れた病気とは?症状別の危険なサインと対処法を徹底解説

「目がゴロゴロする」
「ズキズキと脈打つように痛い」
「目の奥が重く痛む」

多くの人が一度は経験したことのある「目の痛み」。デスクワークやスマートフォンの長時間利用が当たり前になった現代社会において、目の不調を訴える方は少なくありません。

しかし、「いつものことだから」と、その痛みを放置してはいませんか?

実は、「目が痛い」という症状の裏には、単なる疲れ目だけでなく、視力低下や失明につながる可能性のある危険な病気が隠れていることもあります。

この記事では、「目が痛い」という症状で悩んでいる方に向けて、考えられる原因や疾患、ご自身でできる対処法、そして何よりも大切な「眼科を受診すべきタイミング」について、詳しく解説していきます。

あなたのその目の痛み、決して軽視せず、この記事をきっかけにご自身の目の健康と向き合ってみてください。

目次

あなたの「目の痛み」はどのタイプ?症状から原因を探る

目の痛みは、その感じ方によって原因が異なる場合があります。まずはご自身の症状がどのタイプに近いか確認してみましょう。

1. 目の表面が痛むタイプ(ゴロゴロ・チクチク・ヒリヒリ)

まるで目に砂やゴミが入ったような「異物感」や、表面が傷ついたような「チクチク」「ヒリヒリ」とした痛みが特徴です。

考えられる主な原因・疾患

  • 異物混入: まつ毛、ホコリ、砂、コンタクトレンズの破片などが目に入っている状態です。
  • ドライアイ: 涙の量が減ったり、涙の質が悪くなったりして、目の表面が乾いて傷つきやすくなっている状態です。PC作業やスマホの長時間利用、エアコンの風、コンタクトレンズの装用などが原因となります。
  • 結膜炎: 白目の表面を覆う「結膜」に炎症が起きた状態です。アレルギー性、ウイルス性、細菌性など原因は様々で、充血やかゆみ、目やにを伴うことが多くあります。
  • 角膜の傷(角膜びらん・角膜潰瘍): 黒目の表面を覆う「角膜」に傷がついた状態です。異物やコンタクトレンズの不適切な使用、ドライアイの悪化などが原因で起こります。強い痛みや充血、視力低下を伴うことがあります。
  • ものもらい(麦粒腫・霰粒腫): まぶたの縁にある汗や脂を出す腺が細菌感染したり、詰まったりして炎症を起こす病気です。まぶたの腫れや赤み、痛みを伴います。

2. 目の奥が痛むタイプ(ズキズキ・重い痛み・圧迫感)

目の奥がえぐられるように痛んだり、頭痛を伴ったり、重たい圧迫感があったりするのが特徴です。

考えられる主な原因・疾患

  • 眼精疲労: 目の酷使によって、目のピント調節機能が低下し、目だけでなく全身に症状が及んでいる状態です。目の奥の痛みのほか、頭痛、肩こり、吐き気などを伴うこともあります。単なる「疲れ目」とは違い、休息や睡眠をとっても症状が回復しないのが特徴です。
  • 緑内障(特に急性緑内障発作): 目の内部の圧力(眼圧)が急激に上昇することで、視神経が圧迫されてダメージを受ける非常に危険な状態です。目の激しい痛み、頭痛、吐き気、嘔吐、急激な視力低下、光の周りに虹が見える(虹視症)などの症状が特徴で、緊急の治療が必要です。放置すると失明に至る可能性が非常に高い病気です。
  • ぶどう膜炎: 目の中にあり、血管が豊富な「ぶどう膜」という組織に炎症が起こる病気です。目がかすむ、まぶしく感じる、充血する、視力が低下するといった症状と共に、目の奥の痛みを伴うことがあります。原因は様々で、免疫の異常が関わっていることも多いです。
  • 視神経炎: 視神経に炎症が起こる病気です。目を動かすと目の奥が痛むのが特徴的で、急な視力低下や色の見え方の異常などを伴います。

3. その他の関連する痛み

目の痛みは、目そのものの問題だけでなく、他の部位の病気が原因で生じることもあります。

  • 副鼻腔炎(蓄膿症): 鼻の周りにある「副鼻腔」という空洞に膿がたまる病気です。特に目の下や眉間のあたりにある副鼻腔が炎症を起こすと、目の奥の痛みや圧迫感として感じられることがあります。
  • 片頭痛: 脳の血管が拡張することで起こる頭痛の一種ですが、目の奥やこめかみにズキズキとした痛みを感じることがあります。
  • 三叉神経痛: 顔の感覚を支配する「三叉神経」が、血管などによって圧迫されて起こる病気です。目の周りや頬、顎などに、突発的で非常に強い、電気が走るような痛みが数秒から数分続くのが特徴です。

【要注意】すぐに眼科へ!見逃してはいけない危険なサイン

以下のような症状を伴う目の痛みは、失明につながる可能性のある病気や、緊急の対応が必要なケースが考えられます。迷わず、すぐに眼科を受診してください。夜間や休日の場合は、救急外来を受診することも検討しましょう。

  • 急激な視力低下を伴う痛み
  • ハンマーで殴られたような激しい痛み
  • 目の痛みに加えて、吐き気・嘔吐・激しい頭痛がある(急性緑内障発作の可能性)
  • 光の周りに虹の輪が見える(虹視症)
  • 目を動かすと痛みが強くなる
  • 視野の一部が欠けて見える
  • 明らかな目の充血強い痛みがある
  • 化学薬品などの液体が目に入った

これらの症状は、視機能に深刻なダメージを与える前の「最後の警告」かもしれません。絶対に自己判断で様子を見ないでください。

「目が痛い」と感じたときのセルフケア(応急処置)

眼科を受診するまでのつなぎとして、ご自身でできる対処法もあります。ただし、これらは根本的な解決にはならず、あくまで一時的な症状緩和が目的です。

  • 目を休ませる: PCやスマートフォンから離れ、遠くの景色を眺めたり、目を閉じたりして休息を取りましょう。
  • 目元を温める/冷やす:
    • 温める: 眼精疲労やドライアイによる血行不良が原因の場合は、蒸しタオルなどで目元を温めると筋肉の緊張がほぐれ、楽になることがあります。
    • 冷やす: 結膜炎などで炎症や充血、かゆみが強い場合は、冷たいタオルで冷やすと症状が和らぐことがあります。
  • コンタクトレンズの使用を中止する: 痛みやゴロゴロ感がある場合は、コンタクトレンズが原因であったり、症状を悪化させたりする可能性があるため、すぐに外してメガネに切り替えましょう。
  • 人工涙液を使用する: ドライアイや異物感に対しては、防腐剤の入っていないタイプの人工涙液を点眼して、目を潤したり異物を洗い流したりするのが有効です。ただし、自己判断で抗菌薬やステロイド入りの目薬を使用するのは絶対にやめてください。症状を悪化させる危険があります。
  • 部屋の環境を整える: 加湿器を使って部屋の湿度を保ち、目の乾燥を防ぎましょう。また、照明が暗すぎたり明るすぎたりしないか、PCモニターが目に優しい設定になっているかなども確認しましょう。

眼科ではどんな検査をするの?

「眼科に行く」と聞くと、少し身構えてしまう方もいるかもしれません。しかし、目の痛みの原因を正確に突き止めるためには、専門的な検査が不可欠です。

一般的な眼科では、以下のような検査が行われます。

  1. 問診:いつから、どのような痛みがあるか、他の症状はないかなど、詳しくお話を伺います。
  2. 視力検査: 目の基本的な機能である視力を測定します。
  3. 細隙灯顕微鏡検査: スリットランプという顕微鏡を使って、結膜や角膜、まぶたの状態を詳しく観察します。目の表面の傷や炎症の有無を確認するために非常に重要な検査です。
  4. 眼圧検査: 目に空気を当てたり、直接器具を接触させたりして、目の硬さ(眼圧)を測定します。緑内障の診断に不可欠な検査です。
  5. 眼底検査: 瞳孔を開く目薬をさした後、目の奥にある血管や網膜、視神経の状態を観察します。ぶどう膜炎や視神経炎、緑内障による視神経の変化などを調べるために行います。

これらの検査を通して、痛みの原因を正確に診断し、それぞれの患者さんに合った最適な治療方針を決定します。

まとめ:その目の痛み、専門家である眼科医にご相談ください

「目が痛い」という一つの症状でも、その背景には、数時間で回復する軽い疲れ目から、数時間で失明に至る可能性のある急性緑内障発作まで、非常に幅広い原因が考えられます。

特に、現代の生活は私たちの目が休まる暇を与えてくれません。

「たかが目の痛み」と軽視してしまうことが、最も危険です。

この記事を読んで、少しでもご自身の症状に当てはまる、あるいは不安に感じることがあった方は、どうかためらわずに眼科を受診してください。専門家である眼科医に相談することが、あなたの「大切な目」と「見える未来」を守るための最も確実な一歩です。

早期に原因を突き止め、適切な治療を開始すれば、多くの目の病気は快方に向かいます。あなたのその痛みが、目からの重要なサインである可能性を忘れずに、ぜひ専門医の診察を受けてください。

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この記事を書いた人

松山真弘 医師のアバター 松山真弘 医師 日本眼科学会 眼科専門医

帝京大学医学部卒業後、関西医科大学附属病院や地域の基幹病院で、多数の眼科手術を執刀。2023年に大阪市鶴見区で「大阪鶴見まつやま眼科」を継承開業。

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